純情地獄の青春は辛くてビターなカレー味
若者たちは皆、恋に恋しているだけだという事に気づかないまま短い青春時代を過ごす。
たまらなく抑えきれない制御不能な想いを抱いた人と結ばれる事のみをよしとする。「計算のない純粋な想いこそ恋である」と、口を揃えていう。
そういった思考パターンこそが青春の渦中にいる事の証であるのかもしれないが。
俺は31歳の時に、セックスがしてみたい、という理由で彼女と付き合い始めた。童貞だったし女と付き合った事もなかったから、相手は誰でもよかった。
彼女がブスでデブで不潔でズボラなのに処女ではなかった事に理由のわからない口惜しさを感じながらも、毎日毎日セックスした。31年間憧れていた、胸を揉みしだき、舐めまわし、入れて出す、それだけの行為がたまらなく楽しかったし、彼女もそれを受け入れ続けた。
金のなかった俺たちは二人のセックスシーンをAVとして撮影してもらう事にした。面接で、監督はこの作品と俺たちに対する期待を4時間かけて語り続けた。「カップルが本当に愛し合う姿が撮りたい。そう、愛だ!愛があれば彼女のうんこを食えるはずだ!」俺は彼女のうんこを食うことを了承した。彼女はずっと黙って俺の手を握り締めてた。
面接が行われたのと同じマンションの一室で撮影が始まり、まずは普通に一回セックスした。緊張もなく進み、いつも通り正常位で中出しして終わった。彼女はそのまま俺をきつく抱きしめ続けて離さなかった。俺たちの長い長いキスを、監督とスタッフは黙って見てた。
休憩を挟み、カメラの前にカレーが運ばれた。彼女がカレーにまたがり、気張る。しかし、人前でうんこする事になれていない彼女はうんこを出せずにいた。監督の指示に従って、彼女のアナルに指を出し入れして刺激した。数分後、「出るかも・・・・・・」小さい声でつぶやくと、しっかりと大人一回分のうんこを出した。これでうんこカレーが出来上がった。カレーの上に乗った彼女のうんこは太く、そしてルーよりも数段、黒かった。
スプーンを渡され、ご飯とカレーとほんの少しのうんこを一緒にすくい、口元へ運ぶ。
うんこの臭いを甘く見ていた。いつも舐めている彼女のアナルの臭いと味を想定していた俺は面食らって硬直した。他人のうんこに対峙した時特有の生理的嫌悪感に包まれる。彼女は黙ったまま俺を見つめている。口が半開きのまま右手が動かない。静寂の中、時間だけがすぎる。「ちょっとブレイク」監督の声でスプーンを置く。
彼女は無言のまま。俺は彼女の手をたぐり寄せ、握り締めた。
スタッフに汗を拭かれ、再スタート。
ご飯とカレーと、さっきより多めのうんこをすくい、口元へ運ぶ。
「今度はいける!」大きく開けた口元へスプーンを運ぶ。しかしやはり手が勝手に止まる。
静寂。パトカーのサイレンが近づいて、遠ざかっていく。静寂。この部屋で動いているのは、プルプルと小刻みに震える俺の右手だけ。
彼女が俺の手を更にきつく握る。動けないままの俺。
彼女は無言のままレトルトカレーをもう一袋あけ、うんこ味を薄めた。