2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

GRATEFUL DAYS2

俺達がバンドという夢を抱きしめて走り出し、13年の月日が流れた。 俺も、ドラムのデンチも、ギターのマッカも、ベースのサトシも、そして5年前に加入したギターのケンジも、皆等しく歳を取り、世間というものを、大人の世界というものを知った。メジャーデ…

オヤジが帰宅する時

2日で300万作れとオヤジに言われた時、俺には恐怖と絶望しかなかった。 シマ内の店という店を廻り歩いて話をつけたり、借金返済の滞っているヤツを山へ連れて行って半分埋めたり。これまでだって散々努力してきた。しかし、それでもオヤジの納得する額は作れ…

今ならわかる気がする

「私、風俗嬢なの」突然だった。 僕には風俗嬢の知り合いなどいない。それどころか女友達も男友達もいないし、女の子と話した事がある時間は、人生でトータル3分以内だ。だから、彼女が何を言っているのか、何をしたいのか、全く理解出来なかった。そもそも…

ハラリ、舞う

極限に達しつつある尻に全神経を集中しつつ、辺りを見渡し誰もいない事を確認して、職員用トイレへと入った。便器へ近づくのに比例して激化する尻の爆発欲求。蹴破るようにしてドアを開け、パンツを下ろしたのと全く同じタイミングで、爆音とともに糞が噴出…

窓を揺らすカーテン

スーツ姿のサラリーマン達や寄り添い合うカップルたちがそれぞれ思い思いの店へと吸い込まれていく。私は、店の前まで来たものの決心がつかず、ドアノブに手をかけては辺りを歩き回るという行動を繰り返していた。この季節にしてはやけに暑い夕暮れ。長袖の…

逆立ち大学

(注)習作です。 逆立ちをしたままで聡は瞑想にひたっていた。目前の雄大な海から押しては引いていく波を見るでもなく、見ないでもなく、この男は世界の果てへと辿り着いているかのようにも見えた。聡の周りを数十人の若い男女が取り囲んでいる。これは聡の…

真夜中のCALL

「俺に惚れてくれるやつを当たり前に愛そう」そう言ったのは誰だったか……。 給料日後の週末だというのに、僕を誘ってくれる同僚など一人もいなかった。いつもの事だ。最近、時々メールや電話をしてくる恵子からの連絡もない。普段はうざいだけなのに、こうい…

二人のスタート

「あんた、暗いね。」 「え、あ、うん……」 「いっつも書いてるそれ、何?」 「え、あ、うん、それは……」 「だからぁー。暗いね、あんた。なんですぐ黙り込むかな。で? 何? それ」 「え、映画! 映画のきゃく、ほ、ん……」 「へーえ。映画好きなんだ。将来は…