2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧
オリジナリティとは、大事なものなのか。自分らしい文章を書きたい、他人の真似ではない文章を書きたい、と願う気持ちはわかる。でも、こと文章に関して言えば、似てしまうことは決して“悪いこと”や“恥ずかしいこと”ではないと思う。 たとえば「ストーリをこ…
スター選手とのトレードで彼がこの町に来たのは、ちょうど3年前、今日のように、夜の間に降り積もった雪に反射した太陽の光が眩い朝だった。 彼との付き合いは、合宿所への道を聞かれた事から始まった。 大舞台で華々しい活躍をする事なく2軍落ちしてきた野…
「もう2度と会えないのかな」そう思うと、あれだけ愛の言葉を囁き合い、抱きしめあったあなたとの距離がとても遠く感じた。 無言のままのあなたを前にして最後に何か言わなくちゃ、でも、いくら捜しても言葉なんか何ひとつ見当たらない。私は、無言のまま部…
小学生って、時々、残酷だ。おじさんの頃もそうだったかも知れないけど。放課後の帰り道、ジャンケンに負けて、ノコギリで首を切られる事になった。さっそく公園の砂場に移動した。やっぱり切られるやつが自分で穴掘らなきゃ駄目だろってことで、自分で穴を…
夏にはタメライよりも予感が似合う。そんな事言われたってなぁ。毎日朝から晩まで働いて週一回の休日はエアコンのない部屋で昼まで寝てる。俺の毎日なんてこんなもんだ。何がしたくてこの街に来たのかさえもう思い出せないよ。人間なんて入れて出すだけ。食…
若者たちは皆、恋に恋しているだけだという事に気づかないまま短い青春時代を過ごす。たまらなく抑えきれない制御不能な想いを抱いた人と結ばれる事のみをよしとする。「計算のない純粋な想いこそ恋である」と、口を揃えていう。そういった思考パターンこそ…
アキラのウチは、お手本みたいな貧乏家庭だった。トタン屋根、6畳一間に台所、五右衛門風呂、汲み取り便所。父は病気で転職して年寄りどもに混じって公園の草むしりするのが仕事。姉は中卒で女工になり、兄も中卒で大阪の工場へ行った。小学生でタバコを吸い…
腐れ縁の健一は嫌なやつ。自分の事しか考えてない。他人の気持なんか考えちゃいない。気が向かなきゃいくら電話したって出もしない。そんな健一だけど、俺が沈んでる時に限って、どこかで監視してるのかってぐらいのタイミングで電話してくる。日曜日の夜。…
「けけけけケッコンしてくださぃ・・・・・・」「はあ?」「あいやだだだ駄目ならせめて一夜だけでも・・・・・・」「何いってんの。馬鹿じゃない。帰る」「ちょちょちょちょ待ってください!それが駄目なら一度だけデート・・・・・」「だーかーらー嫌よ。しつこい」「ぃやち…
トイレから教室へ戻ったらスカートがパンツの中に入ってた。私がそれからの3年間、「モロ」と呼ばれた理由。トイレットペーパーをパンツに巻き込んだまま鏡の前まで歩いて来てしまってた事に気づき、そんな事を思い出してた。まぁ、昔の事なんかどうでもいい…
この夏休みが永遠に続けばいいのに、誰もがそう願う。6時半に起きてラジオ体操へ行き、もう一度寝て起きたらアニメの再放送を見て素麺を食べて、母親からいい加減にしなさいと言われながらのテレビゲーム。そんな毎日。宿題なんか最初の2日目で止まったまま…
「心の痛みから逃れるために体の痛みが欲しいんだろう? 俺が今すぐ楽にさせてやるよ。その腐った心をぶっ潰してやるよ」 カミソリを手首に当てる僕の頭の中で何度も何度も繰り返される、毎度お馴染みの言葉。 手首を切る事を覚えたのはもうずっと昔の事だ。…